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  が出来るまで

【準備編】

思い付き それは安直に

今は去ること4年前、暇を持て余した友人と私は神経衰弱に興じておりました。

「おめー、めくるの遅いってーの」

「・・めくるんだったらカードよりスカートの方がいいよな」

「・・・確かに」

こうして、このゲームはかなり安直に制作がスタートした。

きっかけは安直とはいえ、いいかげんに創るわけにはいかない。けっきょくのところ、ここから4年もの月日が必要になるとは、このときにはまったく想像もしなかった



ターゲット

制作が決まったところで売る客層を想定する。これは、それなりに利益を得る為には最低限必要な作業だ。

私は、販売ターゲットを想定するとき嗜好マッピングなる資料を使う。どっかのえらい先生が考えた嗜好の大まかな分布図だ。私の創るものと相性がいいらしくかなり役に立つ。

ひさしぶりの制作ではあるがここはひとつカジュアル層をターゲットに絞る。簡単・気軽が心情で比較的安定思考、そして最も層が厚いところだ 。

次は年齢層。

最近の若年層が求めるロリ系の絵は可愛さに磨きがかかっており私ではとても対抗できない。その上この層はライバルが多い。そこで、若干対象年令を上げマニア以外にもアピールすることで対抗することに。

私の想像するユーザーはこうだ。

とある会社の昼休み。

パソコン好きの宅のはいったAくんが持ち込みのノートパソコンを机に広げる。それを怪訝な表情で見つめる上司。見ればゲームに興じている様子。そんなものは自宅でやれと注意するため彼に近付く。

「Aくん。君ねそういったものは自宅でだね…」
「あっ、係長。これちょっとやってみませんか?」

さっと席を立つAくんに面 喰らう係長48才パソコン歴6ヶ月

「私はこう言った類いのものは…」
「まぁまぁ、ドラッグの練習だと思って」

ドラッグぐらいわかっとる と、できるとは言わない係長48才パソコン歴6ヶ月。画面にはマンガの女の子。彼は気分的に引いてしまうが、いわれるがまま画面の女の子のスカートへポインターを運ぶ。

そしてドラッグ。

「おお、これは…」
「なんかほんとにめくってるみたいでしょ係長」

係長はひとしきりぱたぱたとめくるとAくんを見た

「しかし、なんだ…。なんか照れるね」
「はははっ。そうですね」

そこにはなごやかな時間が流れる。

とまぁ、こんなぐあいだ。価格も2500円前後に設定する。同人としては高いが、それなりのものを作る覚悟で挑むことにした。

 
コンセプト

製作するとなるとそれなりに計画が必要だ。それに、作れないものを考えてもしょーがない。

私の作画、制作能力。プログラマの能力等を考慮に入れて面 クリア型カードゲームの形式にすることにした。これならゲーム自体に必要なCGが少なくてすみ効率的だ。注意するのは保守層が相手なので変わったルールを使用しないという点だが、これは神経衰弱を少々改造した程度なので問題はないだろう。

問題は全体のコンセプトだ。どんな感じのゲームにするか。ゲームの世界観である。ターゲットの層から考えればファンタジーっぽいものやSFっぽいもの、濃いエロは避けた方がよさそうだ。

そこで巷のパンチラ事情を調査した結果以下の結論に達した。

・成年コミック系

・成人向き実写グラビア誌系

・深夜番組系

この三つは外せないっていってもどーせいちゅーんじゃ。

そこで考えて考えて考えて出たのが深夜番組のノリのチープなセットの背景に衣装の違うたくさんの女の子が出てきて、レイアウトやキャラの扱いは 実写グラビア誌。ゲームの案内には成年コミック系のインストラクターを配置する。というかなり無茶なものだった。

そして、今回のメインコンセプトは

「スカートめくりを楽しむ」

にした。ゲームの全てをこれだけの為に創るのだ。

ちなみに、当サークルには創設時から戦うべき敵が設定してある。「ポリシー(主張)のないエロゲー」である。私はこれと戦う為にゲームを創り続けている。今回も1ヶ月ほど構想期間をおいてコンセプトが揺れないように覚悟を決めた。なんといっても一番みっともないのは、途中から変わってしまうことだ。

 

実験編1  何人並べるんだ?

現在の所、ゲーム画面の基本は640*480だ。 ここにカード状に人相の識別可能な女の子を配置することになるが、カードゲームの体裁をとっている以上どう考えても最低30人近く必要だ。といってもキャラが小さいと貧乏臭い。

比較的大きめのキャラを階段状の舞台に配置することにして最終的なサイズは描きながらつめていくことにした。

それでこれが最終的な大きさ。最大で30人並べることが可能。大きさもまぁまぁ。とりあえずゲームとしては成り立つ、物理的な最初の難関はこれでクリア。

 

衣装選択

さて、30人分の衣装の選択だ。これはたいへん重要な問題だ。最初に考えたのはカードゲームにあるデッキという考え方を取り入れ女子校生デッキとかメイドさんデッキとか同じカテゴリーの衣装30人だった。ところが、実際レイアウトしてみるとどうしてもデザインが似通ってしまって画面 が寂しい。

これは困った。

それで、好きな所を色々まぜてみようと考えた。まず何種類かの女子校生ははずせない。うん。

それにメイドさん、看護婦、ウェイトレス、チャイナドレスにキャンギャルもはずせない。そうだ、おねーさま系もはずせないぞ。OL、スッチー、エレガに婦警さん。あとなんだ…

えーと、えーと。

そうだ!! マニアックなところでチアガール、テニスギャルなんかどうだ?。そうそう、ウェディングドレスとか 。いま何人だ…全然足りない。

・・・・・・・

いかんいかん。アニメ、ゲームキャラ系をすっかり忘れていた。どれどれ……意外にミニスカのキャラが少ないな 。それ依然に描けんぞ最近の絵は!!。

とまぁ、色々あって女子校生、職業、コスプレの各カテゴリー別 に9人づつ。ユニフォームデッキ計27人が決定する。

 

実験編2  めくりの表現

スカートをめくったり、パンツ脱がしたりする技術はすでに95年に実現済だがどう演出するか?。まさか、ちびキャラでめくるわけにもいかない。(実際ずいぶん魅力的な考えだった。楽だし)

ここは楽しないで舞台上のちびキャラを選択した時点でデカキャラにすり替えてそのスカートをめくることにし、600*800画面での2PVSの追加制作はすでに決定事項だったのでその時全身が入る大きさで全キャラを揃えることとした。

ほんとのところ、640*480用に特化した形でデカキャラの大きさを決めた方が迫力はあったが、2PVSの時に妙に中途半端な大きさになってしまいあきらめた。いちいちそれ用にDATAは作れない

とりあえず、トレス台をひっぱりだしてサンプルデータを作る。

これを彩色し、ゲームで扱えるように加工する

 

これが完成品だが、私はここでえらいことに気が付いた。

 
誤算?
これがゲームである以上ルールにのっとってスカートをめくることになる。

ルール。

そうだ。このゲームは役付き神経衰弱なのでパンツの色がカードのマークに対応している。つまり、システム上めくった時に任意にパンツの色を変えねばならない。上の場合だと

めくり 6パターン×パンツ 7パターン =42枚

パンツが見えていないパターンをまとめるとしても30枚?。30枚ですと!?。ということは30枚が27人で810枚?。いったい何メガになんだ?。アニメみたいにスカート無しの絵にかぶせれば…まぁ、いいかROMだから容量 あるし。

いやいや、実は全然よくない。どのみち27人分のスカートめくリのパターンと6種のパンツを描かねばならない。めちゃめちゃ大変やないかいな。そもそもスカートなんぞそうそうめくった経験もない。マニアックすぎて資料もない。

すでにプロットの段階で無茶だったのか?って気付けよ最初に。でも、なんといってもこのゲームを一番やりたいのは私自身。あきらめない。ずぇ〜ったい。

描きましたよ。来る日も来る日も。え〜描きましたとも(笑)。仕事が終わって深夜に帰宅してから、毎日毎日まーいにち。朝の6時まで。休みの日は日がな一日。どこにもいかずに。

結局のところ18ヶ月かけて女の子のデータだけで約1600個。画面のパーツ類なんか入れると総数3000個近く描いた。最後の方になってくると腱鞘炎になっちゃって腕にシップ貼りながら作業してたよ。我ながらアホちゃうかと思う(笑)



見よ!。っていうか見て。描きも描いたり1000枚近いの原画の束。

流れ

制作プロットの段階でゲームは面 クリア型カードゲームに決定しているがどうクリアさせるか?。ゲームの流れである。

初期の段階ではメインの数名との対戦方式。よくある脱衣マージャンの流れを想定していた。
選択用ちびキャラを作りながら、とりあえずキャラをこさえる。

どうもピンとこない。

主役はスカートをめくられる女の子達であってその他はいらないと判断。第一これだとクリア後ご褒美CGを表示せねばならず、単価2500円前後では完全にオーバーワークだ。設定価格を上げる手もあるが3000円の同人ソフトなんて私なら買わない。いくらいいって言われても基本的に博打的な購入には変わりはない。それに、気軽に買えない。

結果として対戦は登場キャラ全員とおまけ3人の30人とし、クリアHCGは極力出さないことにした。寂しいようだが基本的にゲーム自体(スカートめくり)を楽しむのが本来の目的なのでゲームクリアは大して意味を持たないが、まさか何もなしと言うわけにも行かないので各キャラクリア後はオプションにいつでもめくれるギャラリーを追加することで対応することにした。

ちなみに、私は脱衣麻雀ゲームのいい加減な所(本格的なものもあるけど)が好きでよくやるが、ご褒美CGが邪魔でいちいち脱ぐなってなどと画面 に突っ込み入れながら(笑)やることが多々ある。

 
コンテンツの設計とスケジュール

さて、各画面の設計だ。基本的なものは一揃いるとして…

メーカー表示-最初の画面-ゲームモードの選択画面 -対戦キャラ選択とコンフィグの画面-ゲーム画面-クリア画面。これにクリアエンディング、ゲーム終了画面 、オプション画面。

これだけあればとりあえずOKということで進行スケジュールを作る。これは期間的なものではなくDATAを作る順番だ。画面設計してから描く方が圧倒的に多いが、もちろん逆もある。その場合必要な絵は先に作る必要がある。
今回の場合、選択用ちびキャラがそれにあたる。これは流用できる部分が多いのでどうしても先に仕上げなければならない。

てな感じだ。

他には共通で使用する数字、フォント、ボタンなどの類い。これは設計上云々ではなく操作や視認上大きさ、色などがほぼ決まっているからだ。ボタンなどたくさんの種類作ったら扱う時混乱するので極力共通 にする。

 

さーて、ここまででやっと準備段階が終わった。これから先は絵に描いた餅を本物にする作業になる。

 

次回【怒涛の実制作編】へつづくっ! のか?


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